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ブライトリングに身売りの噂、ブルームバーグが報じる - スイス腕時計業界の先行きは?

この記事は「腕時計 Advent Calendar 2016」第5日目の記事です。

ブルームバーグが先日報じた記事によると、高級腕時計ブランドのひとつであるブライトリング(Breitling)社に、身売り、会社売却の噂が出ているとのこと。

まだ検討段階の初期であること、また、ブライトリング側は正式なコメントを出していない状況ではありますが、記事によると投資銀行からの会社売却に関する助言を受けていること、売却先として可能性があるのはラグジュアリーブランド企業ではないかというところまでが報じられています。

ブライトリングは多くの高級腕時計ブランドがスウォッチ・グループ(The Swatch Group)、LVMH(モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン / Moët Hennessy Louis Vuitton SE)、ケリング(Kering)、リシュモン(Compagnie Financière Richemont SA)といった時計製造グループ、コングロマリット傘下に吸収されている中で、パテックフィリップ(Patek Philippe)やロレックス(Rolex)などと同様、数少ない独立系腕時計ブランドとして経営を続けてきました。ところがここ最近の腕時計の輸出低迷(これはブライトリング社だけの話ではなく)によってかなり厳しい状況に追い込まれているようです。

スイス高級腕時計輸出の低迷

スイス高級腕時計輸出の推移

画像は「Swiss Watch Exports Have Biggest Monthly Drop in Seven Years - Bloomberg」から引用

上記はブルームバーグが11月に報じた記事から、スイスの腕時計輸出額の推移を示した図ですが、2016年10月の輸出額は、前月から 16% も減少し、過去最大の落ち込みになったとのこと。より詳細なデータはスイス連邦関税局が公表している外国貿易統計で見ることができます(Swiss watchmaking in October 2016(PDF))。

特に大きいのは2015年下半期以降から続く中国(香港市場)における景気の低迷とそれに伴う高級腕時計の需要減少で、これにスイスフランの高騰、ヨーロッパにおけるテロへの不安から引き起こされた観光客の減少なども、スイス製腕時計の需要に不利に働いている模様。

景気にほとんど左右されない富裕層向けのブランド、モデル(数百万円から数千万円するような)についてはそれ程影響がないようですが(とはいえ、ヴァシュロン・コンスタンタンなどもリストラを行っているという話ですが)、やはり一般人が購入できる範囲の腕時計に関しては景気の低迷によって収入が減り、嗜好品にかける金額が減ると、その影響が大きく腕時計産業にのしかかってくるようです。

ちなみに日本は2016年の上半期のデータをみると、世界でも数少ないプラスの成長(+2.9%)を記録した市場になります。日本の景気がよいというより、中国人観光客による所謂「爆買い」の影響が大きかったものと思われますが、それも最近は減少してきているので先行き的には厳しい状況に変わりありません。

高級腕時計業界は今後どうなるのか

ここ数年、高級腕時計ブランド各社は、自社製ムーブメントの開発に注力し、新素材の投入や外装の仕上げなどを向上させ、それによって腕時計の単価を上げるという策を取ってきました。また、2014年後半~2015年中盤にかけてのスイスフランの高騰が輸出価格に影響を与え、この時期に国内定価が改定されたブランドも多くありました。スイスフランの為替レートはその頃に比べ、現在は下がっていますが、一度上がった定価って下がらないんですよね......

ブライトリングも同様の状況ですが、価格帯が比較的高価格帯なわりに、デザインが若者寄りっていうちょっと難しいブランドですので(あくまで私個人の主観ですが)、景気の低迷によって影響を受けやすいのかなと思います。

2016年の新作発表でも、各ブランド、比較的エントリー価格帯のモデルを多く発表していました。このブログでも取り上げましたが、タグ・ホイヤー(Tag Heuer)などは、100万円台で購入可能なトゥールビヨン搭載コンプリケーションウォッチ「カレラ ホイヤー 02T」を発表するなど、トレンド的には購入しやすい価格帯での魅力的なモデルの投入というのが今後のポイントになりそうです。

ロレックスも今年はデイトナの新モデルを投入するなど、インパクトのある新製品投入をしてきました。スイスの腕時計業界にとっては厳しい状況なのでしょうが、消費者にとっては価格の見直しやより魅力的な新モデルの発表などが活発に行われるようになるというメリットもあるかもしれませんね。それによって腕時計市場が再度盛り上がってくれることに期待したいと思います。

あわせて読みたい

今年は各ブランド、比較的手に入れやすい価格帯のモデルを多く投入してきた印象があります。2016年内に発表されて個人的に気になったモデルは下記の記事などでまとめていますのであわせてどうぞ。

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