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いつかは手に入れてみたい憧れの腕時計ブランド - その4 「Hajime Asaoka」

Hajime Asaoka - Project tourbillon

この記事は「腕時計 Advent Calendar 2016」第16日目の記事です。

独立時計師アカデミー(AHCI / Académie Horlogère Des Créateurs Indépendants)」という独立時計師(大資本に属さず、時計製作を行う時計師)のみで構成される国際的な組織があります。1985年にスイス ジュネーブで設立され、通称「アカデミー」と呼ばれるこの組織に属する独立時計師は、現在34名が登録されていますが、その全員が機械式時計製作に精通し、類い希なる技術とセンスを併せ持った、所謂「天才時計師」と呼んでよい人たち。

そんな独立時計師アカデミーに、日本人として登録されているのが、日本が誇る独立時計師である、菊野昌宏(Masahiro Kikuno)氏と、今回取り上げる浅岡肇(Hajime Asaoka)氏のお二人。

浅岡肇氏は、元々プロダクトデザイナーとして活躍された方で、腕時計制作の専門的な学校を卒業されたり、腕時計メーカーで時計師として活動したといったこともなく、独学で腕時計制作の世界に飛び込み、トゥールビヨン搭載の腕時計を発表しちゃったっていう、異色の時計師。

プロダクトデザイナー出身という経歴に裏打ちされた優れたデザインと、各パーツの製造過程からこだわり抜いた時計制作への熱意から生み出される腕時計は、多くの腕時計好きをうならせるまさに逸品と言えます。

その辺のこだわりというのは、下記で紹介した書籍にも余すところなく書かれていますので、興味のある方は是非読んでみていただきたいのですが、NC工作機械で加工する際のパスまで手入力するというこだわりが、さも当たり前のように語られていて驚きます。

NC工作機械というのは、「エンドミル」や「ドリル」などの工具を使用して、材料に穴を開けたり、表面を削ったりすることで、材料を所定の形に加工する「数値制御」された工作機械のことです。腕時計のムーブメントを構成する各パーツ、ケースなど、腕時計を構成する様々なパーツを加工するために用いられます。

「数値制御」というのは、NC工作機械に取り付けられた工具が移動する座標位置(要するに工具の動かし方)や、工具が進む速度(加工スピード)などを指定した「ツールパス」を基に生成された「NCデータ」と呼ばれる数値データによって制御することからこう呼ばれます。

通常、「ツールパス」というのは、CAM(キャム)というシステムが自動生成したものをそのまま、あるいは一部調整した程度で利用するケースが多いのですが、浅岡氏は、このパスの入力もすべて手入力で行うというのが、前述した、「パスまで手入力するというこだわり」という点です。

この手間のかかる工程により、工具への負担を軽減しつつ加工精度を上げ、それによってバリを抑え、切削痕を美しく仕上げる(もちろんその後手仕上げされるわけですが、切削直後ですら美しく仕上がる)ことが可能とのことなのですが、腕時計に必要な、数百に及ぶパーツすべてにこれを行うには、相当な時間と労力が必要で、そこまで細部にこだわる時計師というのも希ではないかと思われます。

とはいえ、古くから美術や建築の分野では「神は細部に宿る」と言われるように、本当に素晴らしい技術やこだわりというのは、一見して分かりにくい細部にこそあるもので、浅岡氏のこだわり、細かい仕事というのは、まさに腕時計製作の本質を極めるものだと思います。そしてその強烈なまでのこだわりが、多くの腕時計愛好家から支持される所以なのでしょう。

Hajime Asaoka - Project tourbillon

写真は「Project Tourbillon - 株式会社由紀精密」から引用 - Photo by

上の写真は、書籍にもまとめられている、浅岡肇氏と精密加工用工具メーカー オーエスジー(OSG)の共同プロジェクトとして立ち上がった「Project Tourbillon(プロジェクト トゥールビヨン)」によって生み出された「Project T」。

超複雑機構、トゥールビヨンを搭載し、ムーブメントからすべてオリジナル設計、パーツもすべて削り出したまさに浅岡氏の真骨頂といえるユニークピース。2014 Baselworld(バーゼルワールド)に出品され、世界各国の腕時計業界関係者を驚かせました。

そんな浅岡氏、現在はクロノグラフ搭載モデルの製作を行っているようで、ご自身の TwitterFacebook ではその設計・製作過程の一部を公開してくださっています。

どんな仕上がりになるんでしょう。今から楽しみです。

浅岡氏の作る腕時計は、どこかのお店に行っていつでも簡単にポンと購入できるようなものではありませんが(それは単に金銭的な意味だけではなく)、いつかはこういう方が作った腕時計を手に入れてその技術やこだわりを体感してみたいものです。

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